おわりに―― 平和運動と環境保全運動の協同・発展による持続可能な社会を

  21世紀は,これまでの消費のあり方を変え,地球環境破壊を防止できる時代にしなければなりません。それができなければ,人類の健全な生存に赤信号が灯るでしょう。
  その地球環境破壊の要因のひとつが軍事行動や戦争です。軍事行動や戦争は人間の生命を脅かすと同時に,環境破壊をもたらしながら,膨大な資金を費やしています。地球温暖化を中心とする環境破壊を防止するには資金が必要ですが,軍事費を削減し,環境保全に振り向ければ,地球温暖化防止などに必要な資金問題は解決できるのです。
  また,環境保全を推進するための再生可能エネルギー普及や循環型生産消費への転換は,地下資源の消費を減らし,資源紛争の原因を減らします。これらの転換を通じて,社会内部でのさまざまな協力や協同,民主主義が発展し,市民の生産への関与度が強まり,生産を市民がコントロールする条件が強まります。こうして,軍事産業などをなくし,自然と社会の健全な関係を創り上げるうえで必要な平和産業を発展させ,やりがいのある労働を生み出すようになっていきます。こうして,環境保全の推進は平和な世界を実現する方向へと導くのです。

  いま,軍事的国家安全保障から環境保全的人間安全保障への転換の機が熟しています。憲法9条を守り,その精神を世界中に広めることと,CO2の大幅削減を通じて地球環境保全を強めることは,相互に補完し合いながら発展させていける関係にあります。日本中に広がった「9条の会」などの平和に関心を持つ市民が地球環境問題に対する関心を強め,同時に日本中で展開されつつある環境NPO・NGOを中心とする環境保全に関心ある市民が平和問題に対する関心を強め,地球環境問題と平和問題の統合的な解決を目指すことが重要です。より広範な市民がふたつの問題の統合的解決が可能であることを認識し,そういう世論が強まっていけば,困難に見えていた両問題の解決の展望が生まれてくると思います。

  平和で持続可能な社会づくりに向けての変革が可能であることに確信をもち,その変革に向けてみんなで歩みを強めていきましょう。明るい未来のために,本書が少しでも役立てば,筆者にとってこれほど幸せなことはありません。

                                2009年5月  和田 武 

 

(追記)
  本書の印刷直前の2009年5月25日,北朝鮮が2回目の地下核実験を実施したとのニュースが飛び込んできました。時代に逆行する,このような蛮行を許さず,国際社会が結束して核廃絶に向けた歩みをいっそう強めていくことが重要です。同時に,地球環境破壊という迫りくる新たな脅威にも目を向け,平和と環境保全をともに実現し,あらゆる危機から解放される世界を創っていきましょう。